不動産賃貸業において
個人と法人で何が違うのか?
不動産賃貸業を行うにあたって、個人事業主のままで経営すべきなのか、法人化するべきなのか迷われることと思います。
不動産賃貸業において個人と法人で何が違うのか?相違点をまとめておりますので、下記をご覧ください。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
融資 | 個人の収入及び資産の影響を受ける | 2期目以降で 自己資本率の高い 黒字経営の場合、 融資が受けやすい |
設立に かかる費用 |
なし | 必要 |
税率 | 超過累進税率 (所得税) |
比例税率(法人税) |
給与 | 専従者給与として 支払い可能 (届出が必要) |
役員報酬、給与として 支払い可能 |
減価償却 | 強制償却 | 任意償却 |
損失 繰越期間 |
3年間 (青色確定申告) |
10年間 |
赤字 |
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個人事業主のメリット
テキスト個人事業主として不動産賃貸業を行う場合、次のようなメリットが考えられます。
事業開始時の手間・コストが少ない
個人事業主として不動産賃貸業を行う時、特別な許可や資格は必要なく、税務署に開業届を提出するだけなので、少ない手間・コストで事業が開始できます。
節税が可能
副業として不動産賃貸業を行っており、複数の所得がある場合、黒字の所得と赤字の所得が相殺できるため(損益通算)、節税に繋がります。
事業規模によっては法人よりも税率が低い
小規模な不動産賃貸業であれば、法人よりも税率が低くなる場合があります。
個人事業主のデメリット
一方、個人事業主として不動産賃貸業を行うデメリットとして次のようなことが挙げられます。
利益が上がってきたら法人の方が税的に有利
不動産賃貸業の利益が上がってきた場合、固定税率となる法人の方が税的に有利となることがあります。
対外的な信用が得られにくい
多額の融資を受けて個人事業主として不動産賃貸業を行っていると、金融機関や事業で関わる取引先などからの対外的な信用が得られにくいと言えます。
法人化するメリット
不動産賃貸業を法人として行うメリットには、次のようなものがあります。
節税できる
個人事業主の税制は累進課税で、所得が増えれば増えるほど税金がかかるようになります。一方、法人の場合は固定税率なので、得ている所得によっては法人化した方が節税できるようになります。
給与が支払える
個人事業主は自身に給与を支払うことはできませんが、法人化すると役員報酬として支払うことができます。
厚生年金・退職金が積み立てられる
法人化することで厚生年金に加入することになり、年金を積み立てることができるようになります。また法人では自分や家族に退職金が支払うことができ、退職所得として控除が受けられます。
法人化するデメリット
法人化にはメリットだけでなく、次のようなデメリットもあります。メリット・デメリットをよく把握して、慎重に法人化を検討するようにしましょう。
納税業務が煩雑になる
法人税の申告は、個人の確定申告よりも複雑で、提出書類も増えるため納税業務が煩雑になります。
そのため、税理士に依頼するケースが多いです。
設立直後は融資を受けにくい
法人化したばかりの時は実績がないため、銀行などの金融機関から融資を受けたくても審査が通りにくいというデメリットがあります。
赤字でも課税される
個人事業主の場合、赤字の時に税金はかかりませんが、法人では赤字になっても法人住民税均等割が課税されます。
法人化するタイミングは?
不動産賃貸業を法人化するタイミングとして、一般的に所得が900~1,000万円が目安で、法人設立により税率を低くすることが可能となります。また、個人事業主では行えなかった経費計上や融資対策が可能になり、節税や事業拡大が行いやすくなります。
その他、「不動産の追加購入を検討している」「相続税対策を講じたい」といった時も、法人化のタイミングとなります。
しかし、本当に今が法人化するのに適切なタイミングかどうか判断するのは難しいと思いますので、専門家である税理士へご相談いただくことをおすすめします。
神戸の近江清秀公認会計士税理士事務所では、皆様の事業内容を詳しくお伺いしたうえで、法人設立のタイミングをアドバイスさせていただきます。