団塊世代のAさんは、永年務めた会社を無事定年退職し配偶者のBさんと老後をのんびり過ごすことを楽しみにしていました。気がなりなのは、最近夫婦仲が悪い次女のDさんの事だけでした。
先日次女Dさんの離婚が成立し、Aさんの自宅近くの賃貸マンションで孫E君と二人暮らしを始めることに成りました。
専業主婦であったDさんは、近所のスーパーでパート勤務をしてE君と頑張って生活しています。
E君が20歳になるまでは、養育費が毎月入金されますがそれ以降は、Dさんのパート収入だけで生活しなければなりません。
Dさんを不憫に思ったAB夫妻から、将来の遺産分割で揉めることなくDさんの生活の援助をしてあげる方法はありませんか? というご相談がありました。
ABご夫妻には、相続人にはDさん以外に長女のCさんがいらっしゃいます。
<対策>
ABご夫妻は、長期的にDさんの生活の援助をしてあげたいというお考えでしたので、
駅前の収益物件の購入をおすすめしました。
Aさん個人名義で購入すると、Dさんへの資金援助ができません。
そこで、不動産管理会社を設立しDさんを取締役として登記しました。
E君の養育費の入金があるうちは、不動産管理会社からの役員給与は少なくし、E君が20歳を超える頃から不動産購入時の銀行借入れの毎月の返済額も減額されるので、Dさんへの役員給与も増額できる見込みです。
<対策の効果>
今回Aさんは、不動産管理会社を設立し管理会社名義で2億円の借金をして、収益物件を購入しました。
Aさんの個人名義の財産については全く増減ありません。
ただし、法人の設立時に資本金100万円の出資があります。
この出資金につきましては、長期的には法人の借入金が減額すると、株価が上昇してしまいます。
そこで、法人設立後3年以上経過すると建物及び土地が、税法評価に基づいて大幅に評価額が減額されることに着目して借入金がまだ多額に残っている3年目以降に出資金全額を、AさんからDさんに100万円で無税で贈与します。
この贈与まで行った時点で、今回の対策は終了です。
Dさんは、建物及び土地を所有する法人のオーナーとなり、その後の収入から借金を返済しつつ役員報酬で生活できます。