不動産賃貸業をある程度の規模で経営する場合所得税・相続税の節税対策を兼ねて、不動産所有型の不動産管理会社を設立するのは、よくあることです。
不動産賃貸業は、経営判断を間違わなければ赤字が複数年連続で続くこともあり得ませんし、資金繰りでいきづまるという事もあり得ません。
しかし、稀に過度の節税対策に走るあまり経営判断を誤り、かえって多額の納税義務が発生する場合もあります。
その典型が以下のパターンです。
1.築後かなりの年数が経過している収益物件でも立地が良ければ、高い収益率になります。その場合不動産管理会社の法人税を節税するために、役員報酬を過度に高く設定している事例が稀にあります。過度に高い役員報酬というのは、毎月支払いが出来ないほど高い金額という事です。
不動産取得のための借入金返済資金を考慮せずに役員報酬を決定すると、法人税節税のために多額の役員報酬に設定しても、結局役員報酬の未払となり、法人の決算書の負債が増加します。
この未払役員報酬は、役員に対する負債です。
それは役員の資産という事になります。
相続税対策のための、不動産所有型管理会社の経営判断を謝ると、かえって資産を増やしてしまうというのは、こういう事です。
更に悪いことに、この役員が会社に対するこの債権を放棄すると、次の悪夢が始まります。
悪夢1:法人の決算内容によっては法人税が課税されます
悪夢2:法人の決算内容と株主構成によっては他の株主に、贈与税が課税されます
実際に、悪夢1,2が連続して実現する事例は多くあります。
不動産所有型の不動産管理会社を設立しても油断せず、長期的な展望で法人を経営し資金繰りに留意することが必要です。