不動産賃貸業を始めるにあたり必要となるのは、税務署への開業届と青色申告承認申請書の提出です。その他、特別な免許や資格の取得は必要ありません。
「初心者の方でも不動産賃貸業を始めるのは可能」「副業としてもおすすめ」というのは、こうした理由からです。
不動産賃貸業の始め方(起業)
開業届を提出
不動産賃貸業に限らず、何か事業を開始する際は税務署へ開業届を提出しなければいけません。開業日から1ヶ月以内に提出しなければいけませんので、忘れず提出するようにしましょう。
青色申告承認申請書
確定申告には青色確定申告と白色確定申告があり、不動産賃貸業を始めるなら青色申告承認申請書を提出して、青色確定申告するようにしましょう。
青色確定申告の場合、一定以上の事業規模であれば最大65万円の特別控除が受けられます。また、小規模であっても10万円の控除を受けることが可能です。
その他、3年間の赤字の繰り越しや年間300万円までの少額減価償却資産の一括計上の特例など、様々なメリットがあります。
起業に必要な免許・資格は?
不動産賃貸業を開始するにあたって、免許・資格は必要ありません。「不動産関連の仕事は初めて」という方でも事業を営むことができます。
ただし、事業が拡大した場合には宅建業法上の免許が必要になりますが、基本的には免許・資格なしで事業が開始できます。
不動産賃貸業を起業するステップ
1.事業計画
不動産賃貸業で目指す収入を設定し、それをもとにローンの借入額、目標達成のために必要な物件の選定、想定されるランニングコスト、長期にわたっての利益の計算など、綿密に事業計画を立てるようにしましょう。
2.物件探し
目標とする収入を実現するために、どんな物件が必要か決定したら、それにマッチする不動産を探します。
3.収支計画
条件に合う物件が見つかったら、収支のシミュレーションを行って収支計画を作成します。
ローンの返済に無理はないか、安定的な収入が見込めるかなどをよく検討し、問題がないようなら買付証明書を提出し、購入の申し込みを行います。
4.物件購入
金融機関の融資の事前審査をクリアしたら、物件の売買契約を結んで購入手続きに進みます。契約後、融資の本審査を申し込み、承認を得た後に物件購入の取引を完了させます。
5.経営開始
購入した物件を使って不動産賃貸業を開始します。管理を不動産会社などに任せる場合には、管理会社と契約を結び管理を委託します。
不動産賃貸業の青色申告
青色確定申告するためには、税務署へ“青色申告承認申請書”を提出しなければいけません。その年の1月1日から1月15日に開業した場合は3月15日までに、それ以降の開業であれば2ヶ月以内が提出期限となります。
もし期限に間に合わなかった場合、その年は青色確定申告ができません。
青色確定申告の注意点
青色確定申告のメリットとして、“最大65万円の特別控除が受けられる”というものがありますが、この控除を受けるためには一定以上の事業規模でなくてはなりません。具体的には、所有する物件が10室以上、または5棟以上が目安とされています。
それ以下の事業規模、例えば1室しか所有していない場合でも、青色確定申告しておくべきで、小規模の事業でも10万円の特別控除が受けられます。
不動産賃貸業が初心者にも
おすすめの理由
副業を始めた際に収入を増やそうと考えるサラリーマンの方は増えていますが、そうした初心者の方にも不動産賃貸業はおすすめです。不動産賃貸業をおすすめする理由として、次のようなことが挙げられます。
会社に認められやすい
サラリーマンの場合、アルバイトなどの副業が禁止されているケースは多いですが、不動産賃貸業に関しては認められることが多いです。
副業に費やす時間が少ない
1棟の不動産賃貸業のように大規模なものでなければ、副業に費やす時間は少なくて済みます。他の副業と比べて、不動産賃貸業は拘束時間が少ないとされています。
外部委託も可能
本業が忙しくて不動産の管理に手が回らない場合でも、不動産会社などと契約することで管理を委託することができます。
起業する際に
気を付けておきたいこと
不動産賃貸業として起業する際は、次のようなポイントに注意するようにしましょう。起業時の注意点をよく把握しておくことで、不動産賃貸業を成功させられる可能性が高まります。
不動産賃貸業について学ぶ
不動産賃貸業は初心者でも始められやすい事業で、特別な免許や資格は不要ですが、まったく知識がない状態では失敗する可能性も考えられます。セミナーに参加したり、書籍などで不動産関連の知識を収集するなどして、不動産賃貸業についてしっかり学ぶようにしましょう。
具体的に目標を定める
不動産賃貸業によりどのくらい利益を挙げたいのか、具体的に目標を定めるようにしましょう。この時、利益は家賃収入の額ではなく、支出などを差し引いたキャッシュフロー額で考えるようにしてください。
具体的な目標を立てることで、不動産賃貸業へのモチベーションが高まり、事業の成功に繋がります。